「悲しかったんですね」が、しっくりこなかった理由

わかってもらえた感じがしなかった理由

誰かの話を聴いていると、

「私にも似たようなことがあったな」

と思い出すことがあります。

それって、自然なことだと思うんですよね。

自分の体験した感情を参考にしながら、相手を理解しようとすることもあるでしょう。

でも、それはあくまでヒントのひとつ。

自分が感じたことと、その人が感じていることが同じとは限りません。


以前、

「悲しかったんですね」

と言われて、

「いや、悲しいとは少し違うんだけどな……」

と感じたことがありました。

理解しようとしてくれていることは伝わってくる。

悪気がないこともわかる。

それなのに、なぜか、わかってもらえた感じがしない。

どうしてなんだろう。

外れていたから?

いや、そういうことでもない気がする。

もしかしたら、私の感じていることが、
私より先に決まってしまったように感じたからなのかもしれません。

悲しかったのか。
悔しかったのか。

あるいは、まだうまく言葉になっていない何かだったのか。

その時の私にも、はっきりとはわからなかったのです。

人の気持ちは、本当にわかるのでしょうか

人の気持ちって、本当にわかるのでしょうか。

なんとなく感じ取ることはできると思います。

でも、本当はどんなふうに感じているのかは、その人から教えてもらわなければ、わからないことのように思うのです。

だからこそ私は、「悲しかったんですね」のように、相手の気持ちを言い切ることに、どこか慎重でありたい。

わかったつもりになるのではなく、

「どんな感じなんだろう」

と耳を傾ける。

その人の感じ方を、その人から聴かせてもらう。

最近、そんなことを考えています。

ロジャーズが語った「共感は状態ではなくプロセス」

(ここから少し深掘り)

ロジャーズは、
共感を「状態ではなくプロセス」だと述べています。

「わかった」という状態にたどり着くことではなく、感じ取ったことが本当に合っているのかを、相手の反応を受け取りながら、何度も確かめていく。

そして、相手に導かれながら、その人の内なる世界を共に歩む、信頼できる同伴者となっていく。

ロジャーズは、そのような共感のあり方を語っています。

※C.R.ロジャーズ『A Way of Being』の内容をもとに筆者意訳

「これは、あなたの感じていることでしょうか?」

そんな問いを持ちながら、相手の反応に耳を傾け続ける。

そのひとつひとつが、共感のあり方になっているのだとしたら——

共感は、正解にたどり着くことではなく、相手から聴かせてもらいながら、わかろうとしていく。

そんな進行形なのかもしれません。

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