例えば、相手からこんなふうに質問をされたら、あなたならどうしますか?
「〇〇ですよね?」
「〇〇だと思いませんか?」
こんなふうに尋ねられると、つい自分の意見を言いたくなったり、知っていることを教えてあげたくなりますよね。
相手の問いに何かしらの答えを返したくなるのは自然な感情です。
特に日常の会話では、意見を交換したり、話題を深めたりすることは楽しいものです。
けれど、もし「傾聴」をしたいのであれば、少し立ち止まり、その問いかけの奥にある「気持ち(思い)」に意識を向けてみてください。
「問いかけ」の奥にある気持ちとは?
たとえば、「〇〇ですよね?」という問いかけには、次のような思いが隠れているかもしれません。
- 「私は間違っていないですよね?」
- 「これでいいんですよね?」
と、確認したい気持ち。
また、「〇〇だと思いませんか?」という質問には、
- 「私の意見を認めてほしい」
- 「同じ考えを持っていてほしい」
といった思いが込められていることも少なくありません。
これらは、その人が不安や迷いを感じていたり、承認を求めていたりするサインかもしれません。
このような質問に対して、「私もそう思います」「それでいいと思います」と答えることは、一見すると相手を肯定しているように見えます。
けれど、それは自分の価値観に基づいた判断に過ぎません。
なので、傾聴ができるようになりたい!という方は、質問に対してすぐに答えを返すのではなく、その奥にある「気持ち(思い)」に意識を向けてみてください。
そして傾聴の姿勢でもって相手の気持ちを受け止めます。
応答の基本ステップ
1.しっかりとうなずく
相手の言葉を受け止めていることを非言語的に伝えます。
2.受け止める言葉を添える
相手の言葉ををそのまま受け止め、思いを尊重する姿勢です。
【例1】「〇〇ですよね?」と言われた場合
相手の言葉
「この状況だと、やっぱり転職したほうがいいですよね?」
傾聴の応答例
「そう、やっぱり転職したほうがいいと…(受け止め)確かにこの状況だったら、転職したほうがいいかもしれないと考えますよね(思いを尊重)」
【例2】「〇〇だと思いませんか?」と言われた場合
相手の言葉
「普通はもっと頑張るべきだと思いませんか?」
傾聴の応答例
「普通はもっと頑張るべきだと…(受け止め)△△さんだったら当然そう思われますよね(思いを尊重)」
この応答が正解です、ということではなく、大事なポイントは、相手の言葉をそのまま受け止めるということ。
「でも」「しかし」などで否定しないことが重要です。
そして次に、相手の気持ちを理解する言葉を添えます。
「そう思うのは自然ですよね」「そのように感じられるのは当然ですよね」のような感じです。
これは同意しているのではなく、相手の感じ方や思い方を尊重する言葉です。
まとめ
相手の問いかけに対して、すぐに自分の意見や解決策を言うのではなく、まずは相手の気持ちを受け止めてうなずきます。
そして、「〇〇だと感じているんですね」「○○さんなら当然そう思われますよね」と相手を理解しようとしていくことで、より深い共感が実現します。
おわりに
傾聴とは、ただ耳で聞くだけではなく、相手の気持ちや思いを受け止め、尊重することです。
質問を受けたときは、すぐに答える前に少し立ち止まってみてください。
「この質問の奥には、どんな気持ちがあるのだろう?」
「なぜこの人はこの質問をしたくなったのだろう?」
と考えるだけで、あなたの傾聴はより豊かなものになるはずです。
問いかけの奥にある気持ちに耳を傾ける姿勢を持つことで、深く相手を理解できるようになりますよ。