人と話していると、
「同じことを見ていても、こんなに受け取り方が違うんだな」
と思うことがあります。
自分にとっては当たり前のことが、
相手にとってはそうではなかったり。
自分なら絶対に選ばないことを、
相手は迷うことなく選んでいたり。
そんなとき、
「そういう考え方もあるんだな」
と聴けることもあれば、
「うーん……それはちょっと理解できないな」
と、心が引っかかることもあります。
価値観が近い人の話は聴きやすい。
けれど、自分とは大きく考え方が違う人の話になると、途端に聴くことが難しくなることがあります。
私も以前は、そんなとき、
「ちゃんと受け入れなければ」
「否定せずに聴かなければ」
と思って、自分の中に出てきた違和感を押さえながら聴こうとしていました。
でも、それではだんだん苦しくなってくるんですよね。
では、自分と価値観が違う人の話を聴くとき、どうしたらいいのでしょうか。
私が大切にしていることが、2つあります。
1.自分の中に出てきた反応を否定しない
一つ目は、
「そんなふうに思ってはいけない」と、自分を否定しないことです。
人の話を聴いていれば、
「それは違うと思う」
「私は納得できない」
「なんだか腹が立つ」
そんな反応が自分の中に出てくることがあります。
傾聴を学んでいると、
「相手を受け入れなければ」
「否定的に思ってはいけない」
と考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、自分の中に何かが湧いてくること自体を止めることはできません。
だから私は、
「ああ、私はそう感じているんだな」
と、まず自分の反応にも気づいておくことを大切にしています。
ここで大事なのは、
自分がそう感じたことと、相手がそうであることは別
ということです。
「私はおかしいと思った」
だから、
「この人の考え方はおかしい」
になるわけではありません。
自分の中に起きていることに気づきながらも、それをそのまま相手に当てはめない。
それだけでも、少し相手の話を聴く余白が生まれてきます。
2.「価値観が違う」ではなく、その人の世界を知ろうとする
もう一つ、私が意識するようになったことがあります。
それは、
「この人は私とは価値観が違う」と聴くのではなく、「この人には、そう感じるだけの何かがあるんだな」と聴いてみることです。
たとえば、自分なら絶対に選ばないようなことを相手が選んでいたとしても、
「なんでそんなことをするの?」
と自分の基準から見るのではなく、
「この人にとっては、これはどんな意味があるんだろう」
と、その人の側から見ようとしてみる。
すると、
「価値観の違う人」
だった相手が、
「自分とは違う世界を見ている人」
として、少しずつ見えてくることがあります。
同じ出来事でも、何を大切にしているのか、これまでどんな経験をしてきたのかによって、その人にとっての意味は違います。
だから、
「私はそうは思わないけれど、この人にはそう見えているんだな」
というところに立ってみる。
私は、そこから相手を理解することが始まるように思っています。
頭では「価値観が違っても理解しよう」と分かっていても、実際の会話になると難しいことがあります。
傾聴1日講座®の実用講座では、価値観や意見が異なる相手との対話も、実際の場面を想定しながら練習します。

