あなたのまわりに、このような方はいませんか?
「私なんてダメだから」と自分を否定する人。
もしあなたなら、どのように声をかけるでしょうか?
「そんなことないですよ!ダメなんて言わないで」とか
「あなたはそのままで十分素敵ですよ。自分で気づいてないだけ。こんなふうに考えてみたら?」とか
相手を励ましたい、自分の良さに気づいてもらいたい、と思われるかもしれません。
落ち込んでいたら元気づけてあげたい、と思うのは別に悪いことではありませんよね。
けれど、もし傾聴をするのであれば、今言ったような応答(受け答え)はしません。
そんなことないよ
そのままの今のあなたでいいんだよ
というのは、一見、相手を受け入れているように見えますが、じつは否定してしまっているんですね。
その方は自分のことを「ダメだ」と思っているのに、
気持ちを無視された、拒絶された、わかってもらえなかった
というように感じます。
そして
「そのままでいいと思えない自分なんて、やっぱりダメなんだ」
とさらに自己否定します。
では傾聴だったらどんな受け答えになるのかというと、たとえば
「私なんてダメなんだ…という気持ちが、あるんですね」とか
「私なんてダメなんだ…と思われるんですね」とか
あるいは「私なんてダメなんだ…」と短くつぶやく感じです。
否定も肯定もせず、そのままを理解し受け止めます。
いいとか悪いなどの自分の評価は入れません。
また「こんなふうに考えてみなよ」というアドバイスもしません。
相手をそのまま映し出す鏡になったつもりで、相手の言わんとする気持ちをくり返す、という聴き方です。
これは元気づけてはいけないということではなくて、傾聴をしたいのであれば、そのままを受け止めて聴きます。
じつは聴き手であるあなたが、このような受容の態度をとることで
相手の方は自分に対して、同じように受容の態度をとるようになっていきます。
ダメだと思っているそんな自分も、自分で受け入れられるようになっていく。
つまり、どんな自分であってもそれは私なんだ
私の大切な一部なんだと、自己否定から自己受容につながっていくんですね。