傾聴というのは、日常的な会話の聴き方とは全く違います。
熱心に耳を傾けて真剣に聴けば傾聴になるのではなく、聴き方には決まり事があります。
その代表的なものが「共感的に理解する」というものです。
けれどもほとんどの方は共感を勘違いしています。
なぜなら日常で使っている共感と、傾聴での共感はまったく意味が違うからです。
たとえば
「わかるわかる!すごく共感する!」
と言ったことはありませんか?
この「わかるわかる」というのは
「私もわかります」「私も同じ気持ちです」という使われ方ですね。
これが一般的には共感とされています。
Googleで「共感」を検索しても、そのように書かれています。
他人の考え・主張に、全くそうだと感ずること。その気持。同感。
ですから「自分もそうだと感じることが共感なんだ」というのは
日常での使い方としては間違いではありません。
けれども傾聴は「私も同じだからわかる」という聴き方はしません。
では傾聴の共感とは?
それは
あなたがそう思っていること
あなたがそう感じていることがわかりました
と、相手を100%理解しようとする姿勢です。
私と同じかどうかというのは、まったく関係がありません。
共感はあなたがそう思っていることがわかること。
私も同じ、私もわかるというのは共感ではなく、同感と言います。
じつは傾聴はムズカシイと思わせている一つの要因は、共感と同感を混同させてしまっているからなんですね。
相手の話に同意できない、賛成できないときって聴きにくくないでしょうか?
これは自分を基準にして、同感できるかできないかで聴いているからです。
だけど、誤解してほしくないのは、同感が悪いというわけではありません。
傾聴では同感は使わないというだけです。
傾聴は相手を基準とした共感で聴きます。
良い悪い、正しい間違いという自分の価値判断、つまり同感は横に置き
その人の世界観、感じ方、物事のとらえ方そのままを理解しようと耳を傾けます。