今回は「くり返しはポジティブに変換しない」というお話です。
たとえば、話し手の方がこんなふうに言ったとします。
「頑張ったけど、できなかったんです」
と言われたときに、あなただったらなんてくり返すでしょうか?
2つパターンがあると思うんですね。
「頑張ったけど、できなかったんだ」というくり返しと
「できなかったけど、頑張ったんだね」というくり返し。
どちらも間違いではありませんが、
傾聴のくり返しだったら1番目の言い方です。
「頑張ったけど、できなかったんだ」
と、そのままくり返します。
では、なぜ2番目のくり返しはしないのでしょうか?
それは“そのまま”になっていないからです。
傾聴は、相手の気持ちをそのまま受け止めて、くり返します。
「頑張ったけど、できなかった」
と言われたら、それがそのままの気持ちなんですね。
前後を入れ替えたりしません。
入れ替えると別の意味になってしまいます。
「できなかったけど、頑張ったんだね」
と言われると
結果より過程が大事なんだよ。
頑張ったことに意味があるんだよ。
頑張ったあなたはすごい。
と伝わってしまいかねません。
「でも良い面に注目したほうがいいんじゃないの?」
と思う方もいるかもしれませんが、それは聴き手の価値判断ですね。
傾聴は“そのまま”です。
ネガティブな発言もそのままくり返します。
前向きになれないネガティブなあなたであっても
私はそのままのあなたの気持ちを受け止めます。
そのままのあなたに寄り添います。
これが「受容」です。
どんなあなたであっても
そのままを受け止める心の姿勢が傾聴では大事になります。
なのでくり返しは
前後を入れ替えたりせず、ポジティブに変換することもなく、そのままくり返しましょう。
<参考>